今年はNHK全国学校音楽コンクール(Nコン)に編曲で参加させてもらい、小学校と高校の部の全国大会をNHKホールで観させていただきました。私が合唱に本格的に接するようになったのは留学先のアメリカでのことだったので、日本の、特に小中高の学校での合唱の取り組みや「コンクール」に触れる、そしてアメリカなど他国との取り組みの違いに触れる良い機会でした。
違いということでまず感じたものが「コンクール」そのものについてです。まず、アメリカにはNコンのような全国(全米規模)での合唱のコンクールといったものはありません。米国合唱指揮者協会(ACDA)が運営する全米規模のコンベンションも、コンクールやコンペティションといった性質のものではなく、スクリーニングを通った各部門での一級の合唱団の見本市とワークショップが合体したような性質のものになります。ですので、私が2005年にACDAのコンベンションで合唱団の歌い手として参加したとき、指揮者の教授が「This is not a competition, but we will win anyway! (コンクールじゃないけど、勝ちにいくぜ!)」と言ったのを今でも覚えています(笑)。
合唱コンクールといったもの自体は、どちらかといえばヨーロッパを中心として、アジアにも広がったような感じがあります。ここらへんは、国土の広さとも関係するのだとは思います。
次に感じたのが、学校合唱団の運営形態の違いです。アメリカでは基本的に小・中・高・大の合唱の活動というのは基本的に「授業」で行うことになります。「音楽の授業」ではなく「合唱の授業」というものがあり、それで単位がとれるのです。この辺は、音楽学部が総合大学に一般的に存在する、という事情や、公立私立を問わず学校間の先生の転勤というのが存在しない、といったことも含め日本とはずいぶん違います。
さて、日本でNHKコンクールのような大会に出場するような学校の合唱団は基本的にクラブ活動です。そして全国大会にまで出場するような学校となれば、生徒たちの活動の熱心さや気合の入れようは、「授業」の枠で活動するアメリカの合唱団とは明らかな差があります。生徒による自主的な活動や、生徒間での高めあいが、日本の学校合唱団の特徴でもあります。これは非常に良い点なのですが、クラブ活動という点と、先生の転勤がある、又は合唱、歌の技術、音声学等を専門に勉強した指導者があまりいない、という点を含め、技術的に次のレベルに到達できない要因になっているのかな?とも感じました。
ともあれ、色々と収穫があり、充実した時間をすごせたNHKホールだったのですが、コンクールの結果が発表された後、悔しくて泣いている生徒さん(それも多い!)を見ていると胸が痛みました。本当に一生懸命取り組んできたからこそ出る涙なんだと、ひしひしと感じましたし、こういった活動ができるのは高校生くらいまでなのかな?と、少し昔を思い出したりしました(私の場合は、演劇でしたが)。
0 コメント:
コメントを投稿